CanSat競技での後輩教育

私はハイブリッドロケットを今後開発していく後輩への教育機会としてCanSatを推奨しています。

本文章ではその思想についてお話しします。

1.開発工程
CanSatを考える上で、どのような要求があってそれを満たすにはどのようなフォームファクターやアルゴリズムを構成しなければならないかを考える必要があります。これらを考える力というのはハイブリッドロケットや衛星開発にも十分活かされるものであり、CanSatを通していわゆる開発の上流工程を身につけてもらっています。
また、開発ステップもBBM、EM、FMと段階を踏ませることでプロジェクトとしてのスケジュール感などを考える練習として使用しています。

2.搭載機器の類似性
搭載機器の類似性について、GPSや9軸、microSDなどハイブリッドロケットとCanSatの搭載計器は類似している点が多いです。CanSatを通してこれらの搭載計器の使い方などを学んでもらうことで、ハイブリッドロケットの電装の製作にスムーズに移行してもらうことができます。また、構造面についてもCADの扱い方などCanSatを通して学んでもらうことができるので、まさにCanSatは基礎の基が詰まっているものだと言えます。

3.一発勝負を学んでもらう
CanSatは基本1度の投下しかできません。この一発勝負という環境の中でいかに不安要素をなくし、最大のパフォーマンスを引き出すのかということについて十分に考える必要があります。ハイブリッドロケットと一発勝負で戦うのでここの考え方というのは応用できるのではないかと考えています。

4.基板の作り方を学ぶ
具体的な工程になりますが、ユニバーサル基板ではなくプリント基板を作製し、実装するのもいい経験になります。プリント基板を使用すれば短絡などのトラブルも生じにくく、見た目も綺麗になります。
ちなみに基板の発注はJLCPCB様の方で無償で基板発注のほうを行わせていただきました。以下そちらの感想も記述させていただきます。
まず、JLCPCBで発注するメリットとして、データ入力のしやすさがあります。基本的にzip形式でデータをアップロードするだけで即座に必要な情報を認識してくれるので発注にかかる手間は正しくデータが入力されているかの確認くらいで済みます。
また、発注から基板が手元まで届く日数も短く、体感で今までより3日ほど早く手元に届きました。これだけ早いと、発注して失敗しても再発注できるスケジュール的余裕が生まれるので、プロジェクトの進行管理も非常にやりやすくなります。
大変手頃な価格で発注できる分、品質は悪いのかと言われるとそういうわけではありません。自分が見る限りだと日本で発注した基板と遜色ない基板が完成しました。
JLCPCBの皆様、ご支援ありがとうございました。

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5.以上を踏まえた大会結果
ここまでCanSat競技について触れてきましたが、残念ながら今年の能代宇宙イベントの競技結果は芳しくありませんでした。しかし、ここで学んだことが活きて今は後輩もエース候補として活躍しています!